FACE TO FACE 戦争の狭間の個人

 

  映画の楽しみはソファーなんか或いはベッドの上で壁に背を持たれてノホホンと観るのがいいですね。

でも、たまにありませんか?

こりゃヤバい! この映画は本腰いれて観なきゃっていうのが・・・思わず姿勢を正すというか。

それがこの「スターリングラード/邦題」という作品です。

この映画の評判を聞いたことあるでしょうか?無いんじゃないです?スピルバーグの「プライベート・ライアン」は聞いても。

映像を含めて暗く、重い感じなんです、よく言えば造り込んだ重厚さなんですが。

絡むストーリーやテーマも重い感覚で腰を据えて見返さないと分かりにくんですね、多分。

1度きりで見終えるとしたら、この映画は評価されない対象になります、ハッキリ言って。

 私自身も2回だったと思いますが、これを観ましたが、第二次世界大戦という背景の中のドイツ対ソビエト・レニングラード包囲戦  (Siege of Leningrad )  でのヴァシリ役のジュード・ロウ、ダニロフを演じターニャに想いを抱くジョセフ・ファインズとその想いを知りつつ戦火の淵で落ちるようにヴァシリに傾いてゆくレエィチェル・ワイズのターニャ、差しの決闘をヴァシリと演ずるケーニッヒ少佐役のエド・ハリスしか観てませんでした。

あぁ~スイマセンでしたッ!! 開き直ったりして(笑)

2回目を観てようやく深い中身が透けてくる感じでしたね。

 

  こなた「プライベート・ライアン」 というスピルバーグの戦争大作があるんですがタメ張りますよ これは。

ドイツ対ソビエトがドイツ対ナチスに変ってゆく、ヴァシリとダニロフの友情・ヴァシリとターニャの愛情、その後の三角関係、これらを引きずって軍と軍が友人と愛情関係、そして個人対個人へとユダヤ問題をも交錯させて進めんでゆくのが、この作品のざっとした流れではあるんですが。

歴史問題に特にスターリンによる血の粛清など、ナチスとユダヤ、ソビエトの内のユダヤまで見据えないと簡単に読み解くのがむずかしそうです。

ですが、そうした事を差し引いても、観る価値があります。

スナイパーVSスナイパーで単純に観ても面白い、ケーニッヒ大佐が軍規を犯してでも、この決闘にかける執念とそれにも増して自分の息子への復讐とダニロフ、ターニャを失いながら決戦にのぞむヴァシリとの攻防は、すぐそこまで迫り来るドイツ軍に包囲されることを覚悟したヴァシリをして生きることをも捨てた男同士の闘いとして心揺さぶられるものがあります。

 

  暗く重い戦争のはかなさ、特定の人種を排除しようとする人の愚かさの映像に、レイチェル・ワイズが花を添えます。

エド・ハリスの圧倒的な存在感、ジュード・ロウの凄腕スナイパーとは別のところでの清廉さ!

最後の一撃をきめたジュード・ロウの瞳が奥深くも心に宿る意外なハッピー・エンドです。

 

骨太の作品とは、これをいいます。