Fist of Sorrow 枯れし心、清水にかえりて

Kung Fu Hustle 2004
Kung Fu Hustle 2004

 もっと以前に、このブログで紹介したかった作品です。

2005年、アメリカ公開で外国映画としては最大のヒットを記録し、同年ゴールデン・グローブ賞外国映画部門にノミネートされたチャウ・シンチー監督・主演の「Kung Fu Hustle/邦題カンフー・ハッスル」です。

 

 ブルース・リーに心酔し、また彼に近づくべく日々のトレーニングも怠らないという彼。

苦労人でもあります、長い下積み時代と浮目を見なかった日々をくぐり抜け「少林サッカー」とこの「カンフー・ハッスル」でブレイクしました。

比較的、新しい年次の公開映画ということでもうご存知の方が多いと思います。

映画レビューなどでは単純明快、CG物などいわゆる香港作品的な評価がありますが、自分はとても楽しめて、泣けました。

ダラダラと昔長かった香港物特有の"カンフー組手のごときアクション"は今やCG・ワイヤー・アクションにとって変わりました。(個人的にワイヤー物は好きではないんですが)

私がこの映画が好きなのは全編に流れる "優しさ" でしょうか。

 

 決してアクションで終わらない、ドンパチだけで済まさない

"ひとへの優しさ" をこの映画から感じました。

 

本の内容は頭の中、現場でチョちょいのチョイ的な香港映画の脚本では、この作品は到底出来得ません。それにコミカルな部分もパロディもそれはそれ、十分USでも通用するもの。

その証拠が上述の外国映画賞へのノミネートです。

アメリカがハリウッドがこのユーモアとアイデアを認めたということなんですね。

日本にこんなの作るアイデアや若手の気鋭がいるでしょうか?

いても、ヨーロッパでは通用したが・・・?  てな事になりませんかね。

わたしは、この作品が大好きです。

 

 最後、ブルース・リャン扮する火雲邪神との決闘はいいですよ。

「面白くて、やがて泣ける最後かな」 そんな感じです。

火雲邪神が聞く「What kind of move was that?」、の問いにシンは「If you want to lern. I'll teach you」と答えます。火雲邪神は「Master.」といって膝まずくのですが日本語訳では「参りました!」でしたね、確か。

彼は習得し、開眼したんですね技でなく「優しい広い心というものを」。

昔、小便をかけられた後キャンディーを手渡してくれようとしたあのろうの少女を・・・ヤサグレてコソ泥した自分。彼の心は幼き頃に戻り、心を通わせることが出来ます。

 

 この映画の底に流れる優しい心・広い心へのメッセージはアメリカでも受け入れられたのです。

とても好きな秀逸なテーマ曲をぜひお聞きください。(少女との回想シーンが泣かせます! )

何度見てもクルマのワイパーを動かしたくなってしまいます。

 

人への優しさはすべての国で同じ基準であるべきでしょうね。