Tears in The Rain 暁を駆けて、逝った奴

こよなく愛したLady Janeの店内
こよなく愛したLady Janeの店内

 皆さん、台風が長く居坐っていますが大丈夫でしょうか? 

まだまだ影響がでると思いますので、これからの進路や情報に十分気をつけてくださいね。

 

 早いもので松田優作が亡くなって22年の月日が流れたんですね。

何故か秋の梅雨を思い起こせてしまう、この時期取り上げたのはリドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」です。

[期待度<失望度] という寸評を映画ブログでのこの映画への評価として見受けますが、外国人が眼にした日本の印象を映像にすると 「ああ、こうなるんだ!」  も含めて私としては観れました。

大阪というヤクザが絡む 「魔窟の如き街の息遣い」  をうまく映像化していると感心しました。

この作品、マイケル・ダグラス扮するニックやアンディ・ガルシアが演じたチャーリー刑事の住むN.Yとの対比として私はこれを捉えました。全く異質な N.YとOsaka、そこで同じ組織で葛藤するマイケル・ダグラスと高倉健、片や過去のしがらみを内務に追われ、片や上下の組織と規律の中で苦悶する彼、底抜けに明るく感じるN.Yにも腐敗という日常が潜み、どんよりとした泥のような夕焼けに照らされるOsakaにも凛と生きる男がいる。こうした完全に異質な人々とその人生・文化・都市・歴史背景を人間としてのマイケルや高倉健に埋め込んだメッセージと解釈して紐解くなら、この映画は深く重いものと成り得るとそう感じました。

リドリー・スコットの手腕は見事であると自分は評価します。

 

 さて、彼です。

時代劇の独特でいにしえよりの表現に 「死相が出ている」  というものがあるそうです。

悲しくも、この映画の松田優作の鬼気迫まる、渾身の、切ないほどの演技にはどう拭い去ろうとしても、そんな影が付き纏っているようでなりません。 肌に明るさのない、そんな...

この映画の成功により多くのオファーが舞い込んでいたと当時の事情通が発しています。

同じ感覚をもったのがブルース・リーの 「燃えよドラゴン」 でした、 この時の彼からも似たような、暗い肌色や抜けきれない明るさを感じています。

もし・・・は、いつの世でも後ごとではありますが、もし彼が生きていたなら世界に名を馳せるハリウッドの俳優になれたであろうと確信しています。

驚異の足の長さを誇るこの役者はアクション・文芸作品・コミカルと総てをこなしました。今が進んでいるのか、退廃していっているのかオツムの足りないこの親父には最近わからないのですが、こんな役者は探さないといない筈です。

上の写真はその主をなくした LADY JANE の店内です。

 

 

残念であることに彼はもうそこにいず、主の座るであろうその席は天上に用意されました。