Guilty,Freedom,Friend 自由への執念

 

 

 

1973年制作、監督は「パットン大戦車軍団/Patton」で1970年アカデミー賞7部門で受賞、「猿の惑星/Planet of the Apes」 で同・名誉賞受賞の巨匠フランクリン・J・シャフナー。

脚本は「スパルタカス/Spartacus」、「ダラスの熱い日/Executive Action」のダルトン・トランボが担当。

 忘れられない映画があるとすれば、私にはこの映画「Papillon/パピヨン」です。

最も好きな俳優のマックイーンと日本では「卒業」、このブログでも紹介している 「わらの犬」 のダスティン・ホフマンが共演した1973年のアメリカ映画です。

 

 この作品には本当に思い入れがあります。

パピヨンを演じるマックイーンの映画の中での "自由への執念" を彼が新境地として演じきったこと、映画史に残るシーンがあること、これらがその理由です。

スティーブといえば「大脱走/Great Escape」 が余りにも有名なのですが、同じ脱走を試みる映画であるのに、このパピヨンのスティーブの凄まじいまでの執念の演技はどうでしょう。

脱獄という手段でしか自由を得ることは不可能。1回脱獄で人食い牢と呼ばれる独房へ禁錮2年、2回脱獄で5年、3回で処刑という罪が待っているにもかかわらず。

「罪とは?」、「自由とは?」そして「友情とは?」 何度も、この映画は問いかけてきます。

 

 ダスティン・ホフマンが素晴らしい、この人は本当に素晴らしいと思います。

債権偽造でこのフランス領ギアナに収容されたドガを演じる彼ですが、脱獄とその後の責め苦に屈して、それを諦め終焉を覚悟する男のやるせなさ・うつろいを演じます。

だからこそ、余計にスティーブとの対比として作品の芯が構成される。

スティーブが暗い地の底のような独房で見る、「その夢」のシーンはエンディングとともに最も象徴的で忘れられないもの。

 

 裁判官の声が無常にも響く、このシーンは人生を感じさせてしばし無言になりさえします。

「お前は人間が犯しうる最も恐ろしい犯罪を犯したのだ。私はお前を"人生を無駄にした罪"で起訴したのだ」

このシーンには心が砕かれました。

 

パピヨンは自分が犯した本当の罪を理解してこうつぶやき、元来た道を帰っていきます。
「有罪だ」
「そして刑は死刑に処す」
「有罪だ・・・有罪だな」
自分の人生を何年も無駄に過ごし、それを二度と取り戻すことは出来ないことを悟り。

 

 気付くんですね、自らの犯した真実の罪の取り返しの付かないことに・・・この事への "自らの人生への贖罪" が彼を最後まで奮い立たせ、ラストの断崖から感動の脱出シーンへとつながっていきます。全編に見所が散りばめられ、観るものを上下に揺さぶる感動はこの映画でしかなく、エンディングの極限の中で芽生えた男の友情が絶たれる時にさえ、地獄で這い回った二人は互いの全てを分かり合い、互いの全てを祈って別れるのです。

 

ダスティン・ホフマンが大海の彼方に "友" を送る、「迫真の目の憂い」 が何度観ても心に突き刺さって離れることがありません。

 

スティーブが"潮の流れに脱出の可能性"を見つけ出し嬉々としてダスティンを訪れるシーンが、

http://www.youtube.com/watch?v=IXKmkK7KQp0

 

友情が涙を限りなく誘い、執念が荒波をも打ち砕く感動のラスト・シーンをこちらからどうぞ!

http://www.youtube.com/watch?v=MgnBH46IKyk&feature=related