Mo Chúisle / 罪を天に獲れば、祷る所無きなり

  遙か大雪山系の紅葉が始まっているそうです、騒いだ猛暑もいつやの夜風、四季の鼓動は確実にスタスタと子らの歩みのように近づいてきてますね。

瀬戸内の一部では異常潮位が続いているとのこと、野暮な台風など来ないように祈っております。

 

  秋の夜長は映画へのいざない、出ても出てもヒットに恵まれずマカロニ・ウェスタンで踏みしめた砂塵は数知れずの苦労人、ダーティ・ハリーで強きアメリカの象徴となりえて、ドでかいマグナム片手にホットドッグを頬張りながらブチかましたアイツは今やハリウッドを代表する名監督!

ケツに弾丸を受けて、「恥ずかしけりゃ、向こうむいてな!」 と相棒に言い放った洒落たセリフが思い出されます。名優3人がっちり組み合った2004年ハリウッド問題作 「ミリオンダラー・ベイビー/Million Dollar Baby」 です。

ネタバレ、コラム、評論その上アカデミー選考基準までをも含め、パキパキと快活なヒラリー・スワンク演じるマギーが不遇な自らの家族愛に立ち向かい、プロ・ボクサーとして頂点を極めることで「自己という存在の証明」を見いだそうとする前半部分から、何とも相反する重い宗教性との向き合いとも取れる、社会問題的なラストへの展開は歌舞伎でいう 「奈落の底」 を覗かせてなお背中を押されるかのようでハッキリ白黒の意見がでるエンディングであり賛否両論も納得します。

  イーストウッドの演出方法にも批判的 (意図的な思惑のある少々傲慢な演出) な意見がそこかしこにあるようですが、私はこれで賛成です。アカデミーの選考にも同じくそうです。

別の演出・構成・展開にして、この映画がこれほどの輝きを放ったか・・・?は甚だ疑問です。

クリントがクルマのモックアップを造りだすように入念に削りを入れたラストは泣けました。

「モ・クシュラ」(Mo Chúisle):「おまえは私の親愛なる者、おまえは私の血(My darling, my blood)」という映画におけるメッセージにも。

「尊厳死」、「安楽死」 の大いなる問題についても個人それぞれのご意見があると思いますのでお任せいたします。

  私も監督であれば、彼と同じ演出をしますね、わたしの血(鼓動)と云えるまでのマギーへの思いなのですから。(映画の生い立ち、成り立ちを考えれば私には自然です。)

素晴らしい俳優たちが、深みのある演技を魅せてくれるイチ押しの名作です。

役になりきったヒラリー・スワンク、彼女が素晴らしい、モーガン・フリーマンにしては、そこにいるだけでいいと言えるほどで、この俳優は凄い方だなとあらためて惚れ直しました。

 

  あと一人いるだろう・・・そうでしたね。

クリント・イーストウッド!安物の葉巻を口先にはさんでポンチョをひるがえした男は多少腰も曲がり白髪頭の御年になりました、ですが彼の映画に対する飽くなき挑戦はこれからも健在です。

 

お奨めします、何故かって・・・クリントの作品だから、 畢竟それだけです。

 

日本版トレイラーをYoutubeよりどうぞ!

http://www.youtube.com/watch?v=c6D1c2v8S4o