The Grand Symbol アメリカというものの象徴

 

 

 

  大いなる大地、大いなる愛、大いなる決意 ・・・幾千もの賛辞に彩られる不朽の名作はこれらを背景にして1939年に公開されました。

アトランタ出身のマーガレット・ミッチェルがその生涯において唯一残した長編小説にしてトルストイ『戦争と平和』に影響を受けて書かれ、タラの大農園主オハラ家の長女で美貌と勝ち気で激しい気性の持ち主スカーレット・オハラをヒロインに、彼女が最初の恋に破れてから三人の夫を送り迎える数奇な運命を緯にとし、南北戦争の勃発と北軍の進入、南軍の敗戦、戦争の破壊と戦後の再建というアメリカで最も重要な歴史的事件を経とする彼女の小説が題材です。

上映時間231分に及ぶ大作にもかかわらずスカーレット・オハラ演じるヴィヴィアン・リー、レット・バトラー役のハリウッドのキング、クラーク・ゲーブル、オハラが想いを寄せるアシュリー役のレスリー・ハワード、オリビア・デ・ハビランド演じるメラニーの四者多様の絡みは重厚なスペクタクルそのものであり、莫大な制作費 (当時レートで600万ドル) をして製作されたこの映画はその当時最先端のカラー技術・衣装・撮影効果・セットなど背景に存在するものも全てがスペクタクルであると断言ができます。

 

  1939年です!!

もう一度言いますが、1939年です。

我が国、日本では東海林太郎の名月赤城山、淡谷のり子の東京ブルースが流行歌としてヒットし、大相撲ではかの不世出の大横綱の双葉山の連勝記録が69でストップした年でした。ドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発・・・政府は石油を配給制にするという奈落へと世界が動き始めた転換の年でもありました。

驚くべきはアメリカが、この1939年にこんなにも凄い映画を作ったということではなく、” 作ることが出来た” ということです。 東京五輪が1964年ですから遙かその25年前に・・・すでにです。

当時この映画を海外の劇場で観た軍人 (陸軍中野学校) が  「我々は、これを作った国と戦うのか」  と途方にくれたとは有名な逸話です。南北戦争を背景に白人優位観点から作られた映画、人種差別が根底にあるなどとも囁かれました。

奇しくも黒人初のアカデミー賞がオハラのメイド役を演じたハティ・マクダニエル (Hattie McDaniel) に贈られたこともアメリカらしく偶然ではないようにも思えます。

監督の交代、脚本の差し替え、セルズニックは10人にも及ぶ脚本家をマネジメントし、開発段階そのもののテクニカラーを商品化導入しました。リドリー・スコットの「ブラック・レイン」で脚本家が2人日本に来たそうですから大変なことです、これだけをしても。

 

  レット・バトラーのオハラを引っこ抜く(笑) かのように演じるキス・シーンも見どころでしたね。なびきそうでなびかないオハラにヤキモキし、 「本当にいい男なのかよ!?」 とアシュリーに嫉妬し、デ・ハビランドのメラニーを観るにつけてなんてオハラは性根が悪いんだと腹を立て、やがて気づくレットへの愛も運命の糸はいたずらにもつれ、レットは自らの元を去り行きオハラは一人となってしまします。

歴史に揉まれ時代に翻弄され、運命の手ずなを切られるオハラですが炎のような女はタラに戻って全てをそこから考え始めることを決意して明日を見つめて誓います。

‐Tomorrow is another day!!

地平線というものが存在する広大な大地で明日を誓うラストが印象的です。

良質な画質のトレイラーと合わせてお楽しみください。

 

  お正月にゆっくりと自宅で観直してみてもその迫力と感動に圧倒されるはずです。

素晴らしきかな映画とは,まるで人生のように ・・・

皆様の元に訪れる来年が素晴らしい年でありますことを心から祈って、今年最後のブログとさせていただきます。

 

良いお年を。