Love mankind/ 山椒は小粒でピリッと辛い 

SFホラー映画の金字塔と私は考えています。

 

1982年監督ジョン・カーペンター、カート・ラッセル主演の 「 The thing / 遊星からの物体 X 」です。

たかが犬一匹、それもヘリコプターで執拗に追い回されライフルで狙われる犬、入りからしてもう引きこまれています。たぶん

 

この犬はあとあと重要なファクターとなるんですが、単純にアメリカ南極観測隊が追いかけてるん ・・・

じゃなくて

ノルウェー隊というのも味噌でして、この隊が残したビデオをラッセル演じるヘリ・パイロットのマクレディが調査して発見するビデオのシーン、そしておよそ10万年前に南極に墜落した UFO を残骸を見つけ出すくだりなど、「エイリアン」 などはすべからくこの映画からの派生なのではと思わせるほどの脚本の練り込みです。

映画の展開を傍観させるのではなく 「 この先は 」  と追いかけさせる脚本の妙。

 

 演技陣の追いつめられた人間のなせる狂気の沙汰は南極という絶妙な設定も相まって最後の最後まで息つく隙間がありません。

犬に寄生して宿主となるシーンなどは「エイリアン3」でまんま登場 、血液に反応しておぞましい姿を現せるところなど古典とはいえのちのホラーの教科書のようです。

何よりも生死をかけた極限のパニックの中での猜疑心という人間の本性は、どんなギミックよりも説得力があり、これがこの映画・映像のコクになっているのは間違いありません。

巨費を投じてコケるハリウッド作品が数多い中、CGがなくても脚本・演出・編集でこいう作品がつくれるという見本でもあります。

 

  カート・ラッセルは好きな俳優の一人、一見アメリカを 象徴するような男くさい役者ですが、この作品では冷静沈着なヘリ・パイロットを好演しています。

階級や身分が上であろうと極限の状況下ではそんなものは消し飛んでしまう人の弱さ、故に価値とは決断と実行だとは彼の行動が示してくれます。

 

  ジョン・カーペンターは最後の最後に、謎をわたしたちに投げかけています。

メイキング映像では「その解釈は観る人に任せる」 とのこと 。

どうか、その最後のなぞは本編でご覧ください。