2011年3月、文化・芸術そして芸能の分野で功績のあった女性に送られる英国の称号デイムを授かった女優がその生涯を閉じました。
実にその人生において8度の結婚と7回の離婚を繰り返し逝った、エリザベス・テイラー。
リズ・・・
その美貌において 「完璧」 と呼べる女優はこの人ではなかったでしょうか。
王道のど真ん中を常に歩むかのような彼女の人生と恋の遍歴は常にタブロイド紙の注目の的で時が今なら大勢のパパラッチがその周りを取り囲んでいたことでしょう。
1963年に 「クレオパトラ」 に主演、ハリウッドの黄金期にあっての100万ドルという破格の契約は史上初のものでした。(当時ドル‐円レートは固定の360円)
この映画は話題にも事欠かずリズとリチャード・バートンとの不倫
-あなたと一緒になれないなら死んでしまいたい ‐ リズ
-なら、死ね ‐ バートン
という会話があったといわれています。
キャスティングミス、撮影の不手際などで最終的に制作費は4400万ドルに膨れ上がり20世紀フォックス社を存亡の危機にまで追い込んでいます。(なんと3億ドル以上です!!)
「サウンド・オブ・ミュージック」の大ヒットでフォックスはこの危機を奇跡的に乗り切るわけですが
リズとは対照的なジュリー・アンドリュース主演映画が救世主であったなどとは皮肉なものです。
マリリンのように生前のフォトは以外に多い彼女ですが、プライベートで見せる何ともやわらかな微笑みとは裏腹に映画に使われる写真では別人のように凛とした表情に変わるのは頂点に座すべき彼女のプライドのなせるところなのでしょうか。
この辺りはモンローと対極のように感じます。
「ジャイアンツ」 で共演したジェームス・ディーンとの撮影合間の写真にとても人間的な彼女の一面が見て取れます。
ロマンスか、友人としてか。(ディーンの秘密を告白されたと言われています)
生涯の友人であったとわたしは思います、ディーンから濃密な女性との恋を見出だせないのがこの秘密の背景でしょう。そして、リズが死してハリウッドの大物女優はいなくなりました。
古き良き時代が「記憶」となった瞬間です。
4人の子供たちに見送られ天に昇っていったリズ。
「母は多大な情熱、ユーモア、愛情をもって、人生を精一杯満喫した類まれな女性でした」 とテイラーの息子マイケル・ワイディングは語っています。
彼女の人生こそが映画そのものであったとわたしには思われます。