The Graduate 1967 優等生のドンデン返し

いやぁ暖っかいですね、10月も後半だというのに。

季節は秋に 「卒業」 できないでいるようです。   で、少し息抜きとばかり ・・・

 

 1967年ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス主演、サイモン&ガーファンクルの音楽と、「バージニアウルフなんか恐くない/ Who's afraid of Virginia Woolf ? 」、「イルカの日/ The Day of the Dolpin」 マイク・ニコルズ監督メガホンの 「卒業 /The Graduate」 です。

全編に散らばる S&Gの珠玉のサウンドが抜群でした。

フランスにヌーベル・バーグがあるように70年代に移り行こうとするアメリカを象徴する作品でアメリカン・ニューシネマの代表格といえる映画でした。

 

 当時を代表する映画誌の 「スクリーン」 で何度もこの映画の記事を読み返した記憶があります。

ホフマンのデビュー作、キャサリン・ロスは3作目にあたるんですね、そうかクレジットがアンバン・クロフトが上でしたね。

甘いメロディ、角のない演出とは裏腹にストーリーは自分の母親 (ミセス・ロビンソン) と不倫関係のドロ沼に陥るベンジャミン、その後に彼と付き合い始めるエレーンとは・・・

いまでもゴシップ記者がヨダレ流して張り番しそうな内容でした。

反体制が底流にあるその世代の若者の心情 (一種のシラケ世代?) を映しているとはいえ、ベンジャミン演じるホフマンのそれはこの後のアメリカの映画界になくてはならない礎を刻んだといえるエピックなものでした。

巧い俳優ですよ、この方は。 すこし垂れ目なキャサリン・ロスも可愛かったですね。

怠惰で魔性的なアンバン・クロフトのミセス・ロビンソンとうぶなベンジャミンとのキスシーンのやり取りは秀逸でした。マニアックな動画編集趣味者が題材にピック・アップしたがるシーンがそこかしこに存在しました。(プールでエアマットに乗るベンジャミンのシーンなど)

 

 そして、ことラスト・シーンにスポットを当てるなら、この「卒業」のファイナルは外せないと思います。

ガラス越しに遠いエレーンへの連呼、振り返るキャサリン ・・・ 十字架を振りかざす優等生にエレーンは戸惑いながら人生を預けます。

うぶな男はこの時ばかりはやりました。

バスに飛び乗り、どこ知らない場所へと旅立つふたりに客席に座る老人たちは好奇の眼を投げかけるのみ、微笑むエレーンと座るベンジャミンのその虚ろであるかの眼差しは未来への大きな「疑問符」には十分なものでした。

 

 時代が変ろうとする70年代への切符であったようにわたしは感じます。

けど、映画の技法も音楽の構成も次々生まれる新しいジャンルも総ては 「あの頃」 という階段があったからこそ生まれるのではと、いまのフォーク・ソングを聴いてはそう感じています。