ブルース・リー監督デビュー作の 「ドラゴンへの道・The Way of The Dragon」 です。
観ました!ライオン館という映画館で、たしかユル・ブリナーの 「ウエスト・ワールド」 との併映だったんじゃないかな。ユル・ブリナーには失礼だけど早く終わんないかなぁ~と思いながら観てました。
「危機一髪」 の若さ、「怒りの鉄拳」 の悲壮感に比べてまさにブルースの、ブルースによる、ブルースのための映画でした。
映画の出来としてはロー・ウェイの 「精武門」 が一枚上手ですね。演出も本もそうでした。
なのに興行収入はこの映画が彼の作品の中ではダントツだったそうですよ、アジア圏において。
前半のおとぼけなお上りさん的キャラから、後半はクルッと変わって強いブルースへ。
コメディタッチで ”人間ブルース・リー” を描いたレストランでのシーンや娼婦との絡みのシーンなど実際の彼に最も近いとリンダ夫人が語っているように新鮮な感覚を覚えては笑えましたね。
この作品でも共演し妹のように可愛がっていたというノラ・ミヤオは当時から男女の仲ではと噂されたブルースとの関係をキッパリと否定し、こう語っています。
「映画や武術・鍛錬の話しばかりで、全然そんな事なかったの (笑) 」
成功して赤のメルセデスのオープンを手に入れたブルースは子供のようにはしゃぎ周囲に自慢したそうです。
ノラ・ミヤオはこうも言ってました。
「2時間もしないうちに、彼はまた見せに来たわ(笑)」 と
わたしはこのエピソードが大好きです。
ドラゴンへの道は決められた予算の中での強行軍、滞在が進めば進むほど出費がかさんでゆく海外ロケの中、撮影スタッフが背中を向けている時に何気なく後ろから近づいて財布を盗んでみたりしてユーモアで場を和ませたといいます。
この映画のそこかしこに散りばめられた彼の人なっこい笑顔はこの作品の宝でもあります。
全幅の信頼を寄せていた撮影カメラマン西本氏のカメラワークはわたしたち日本人には自然に観れた要因でもあって、この作品の人気がある理由でもあります。
反して、スタジオでのセット撮影とはいえ映画史上に残るチャック・ノリスとのコロッセオでの死闘はなんともエピックです。
ブルースは格闘シーンのツボを完全に心得ていた稀有な俳優いえ芸術家です。
チャックは後日談でこの死闘についてブルースが優勢な部分が偏っている、最低3度は攻守が変わらなくては。
と、 語ったそうですがわたしは全くしてこの意見に反対です。
以前の香港映画に多々ある組手のようなアクションを見せても観客は反応しないことを彼は見切っていました。
何度も見直してみてください、いかに彼が魅せる武術家 (マーシャル・アーティスト) として偉大であったかが分かると思います。
リンダ夫人は上映された一部の国で、チャックへの5連続キックがカットされたことを大変嘆いていました。
「あれは彼の芸術なのよ」 と
芸術といえば 「精武門」 でシングルであったヌンチャクがダブルになりました。
この作品の中盤を引き締めるに欠かせない伝説のシーン
彼らの店を地上げして奪いとろうとするギャングらにそれは一閃、打ち下ろされます!
鬼神の如く鍛えあげられ、魔神でさえかくもと思わせるその太い前腕をして唸り飛ぶ必殺のダブル・ヌンチャクをYoutubeの映像でどうぞ!!!