US vs GB / 「新欽定訳聖書」 アルカトラズ出版

つい最近も新作の日本キャンペーンで来日していた彼、飾らない服装や立ち振る舞いとともに

「シンプルが一番いい」 とのコメントが印象的でした。

アフリカ系アメリカ人として初のアカデミー主演男優賞2度に輝く名優デンゼル・ワシントンの 「ザ・ウォーカー/The Book of Eli」 です。

雄弁でもなく、どちらかといえば寡黙と受けとられる彼も少年期には粗暴であったとは意外です。

それに1974年チャールズ・ブロンソンの 「狼よさらば/Death Wish」 が彼のキャリアの始まりの頃とはついぞ知りませんでした。

 

 製作にはマトリックスのジョエル・シルバーが参加と知ってはこの映像感も納得です。独特ですね、前出のポランスキーと同様に光りと影を巧く使いますが ‘今のいま’ の演出とはこれのようです。

ゲイリー・オールドマンが共演、本家対分家でがっぷり組む様はなかなかのものでした。

映画のあらすじは終末戦争の後の荒廃したアメリカ、主からの啓示によって聖書をひたすら歩きながら西の地へと運ぶイーライをデンゼルが演じています。

これもヴァルカンの命で悪魔の書の真贋を突きとめるべく旅立つナインス・ゲートのデップとは真反対。

 

「 題材を目的」 に映画を観てみるのも面白い試みです。

 

 フラッシュ・ダンスのジェニファー・ビールズやテッドのミラ・キュニスが鍵となる役柄で出演しているのも新鮮、ジェニファー・ビールズは相変わらず綺麗でしたし、ミラ・キュニスを見るにしてはなんとも、これが ‘昭和と平成’ の時代差なんだと妙な納得も感じました!(笑)

星3つ半です。デンゼル演じるイーライとの役合わせには多少違和感を覚えましたね。

ネタをあかせば点字であった問題の聖書をイーライがたどり着いたアルカトラズで口述筆記させるシーンでのソラーラの演技設定には少し 「?」 かな^^ 眠いのはわかるけど・・・

 

 この 「本」 に関しての作品二作をみて感じること。

神や悪魔というものは人の心に宿るものであるということ、迷う心・くじける想い・重なる試練・恨み・ねたみ・・・そして憎悪。

絶対的なものが存在しえないと感じた時 ‘人の脆い杖’ は折れようとする。

不合理な宗教戦争にさらされようとも人はそれを ‘杖’ にしようとするようです。