格闘家であるとともに詩人でさえ有りました。哲学家とも。
タイトル下の諺は意訳すれば 「型にとらわれず、その瞬間の最善策を選択せよ!」 といえます。
そういえば 「燃えよドラゴン/Enter The Dragon」 でも
-fighting without fighting という彼の台詞があります、戦わずして勝つ。
戦ったというならロー・ウエイとのコンビ二作目の映画 「邦題 ドラゴン怒りの鉄拳」 でした。
初作 「ドラゴン危機一髪/The Big Boss」 大ヒットの興奮も収まらぬ1972年3月香港で公開されるや興行収入記録を2週間で塗り変えることとなった作品。
日本人柔術道場と上海の中国系武術界の真っ只中で彼は亡き恩師の謎の死を解き明かすべく一人日本人と戦います。
なんの違和感もなく見れた記憶があります。それは時節柄複雑な今に持ってしても同じだと。
監督との確執もあり彼にとっては慌ただしい日々であったようです。
脚本・演出がしっかりしており後のゴールデン・ハーベストでの作品に見られる 「オレが、わたしが感」 がなくこの映画を彼のベストと評する人が少なからずいます。見応えは充分あります。
最早、伝説といえる幕引きのモーションストップ・エンディングへと流れるボブ・ベイカーとの一騎打ち・初めて使うヌンチャク・コミカルな変装シーン・苗可秀とのキス・シーンなどがそう。ジャッキーも宙を舞います。(笑)
この作品をあとにブルースはロー・ウエイと袂を分かつことになります。香港映画界がこの 「金づる」 (失礼!) を手放すわけがありません。名誉と栄光・富をすべて手にしたブルースが人間不信に陥っていったのもこの頃からです。黒社会・闇の勢力からの執拗なアプローチがあったと推測されるのはインタビュウーでの以下の言葉です。
- ある日見ず知らずの男がオレの前に現れ白紙の小切手を差し出すんだ。「好きな額を入れろ!」 ってね。もう、だれも信用できなくなったよ ・・・
- オレは言ってやったんだ!「ローと10本契約したと言え」 ってね ・・・
そしてかれはこうも語っていました。
- ひとりで食事をしにいくにも帽子を深々とかぶってサングラスをかけ、背を丸めてレストランの隅の席にまっすぐいくんだ。 まともじゃないよ・・・
三枚目の写真は小麒麟 (ユニコーン・チャン) とのもの。突然の死の後、ブルースのあとを追うように旅だった無二の親友を香港の人々は 「寂しいんだろう、ブルースはかれを連れていった」 と囁いたそうです。
なんの打算もない彼との生涯に渡る関係の純粋さがこの写真から見てとれます。
最後にユニコーンが語ったブルースへの言葉を紹介して終わります。
- かれが生意気だとか偉そうに出来もしないことを言う奴だって話しは聞くさ ・・・
- でも、「彼には出来るんだ!」 それがブルースさ。