マイク・ニコルズ(1931- 2014 )
映画史上に15人にしか存在しない、
グランド・スラマー / アカデミー賞・トニー賞・エミー賞・グラミー賞受賞監督。
監督初作がリズ・テイラー、リチャード・バートンの
「邦題 ・ ヴァージニア・ウルフなんかこわくない
Who's Afraid of Virginia Woolf?」
庭先から見る山々の紅葉がピークを迎えています。
海外からも日本に続き残念な知らせが届きました、マイク・ニコラス監督の訃報です。
彼への追悼の意を表して1968年日本公開作の 「卒業」 を再度取りあげました。
この映画の主人公ベンジャミンはよりによって幼なじみエレーンの母君と浮気をして坩堝のどツボにはいるわけなんですが、将来を嘱望されるオトコがなにやら気だるい虚脱感の中はまりそうなパターンですね。情事にハマってゆく自分、気づきつつも怠惰な時間こそ身にまとわりついては離れようとしない。
かといって ・・・ ベンジャミンは意を決してALPHA を駆ります。
あまりにも有名なラストシーン、エレーンへの連呼・振りかざす十字架・飛び乗るバス。
前半の構成、ベンジャミンの描写から一転アップテンポでエンデイングに流れ込むのはアメリカン・ニューシネマの文法か、いえマイクの演出はそれを超えた感さえあります!
きょうの twitter でかのスティ―ブ・ジョブズが子供たちにiphoneを使わせなかったという投稿を見ることができました。
それは便利だけど―彼らから何かを奪い取ろうとはしないか― という記事、ザックリ言えば。
わたしも辞書をひく回数が目に見えて最近減ってきました。
なんの関係があるんだと、 スイマセン。
わたしが言いたいのは、
ALPHA に飛び乗ったか、ということ。走ったか・・ということ。
破裂しそうな感情を、リミットが近づく道のりを息を切らして進もうとしたかということ。
便利な四角い箱は感情を伝えてはくれません。
しかしそれにしてもトップ画像のなんというベスト・ショット感ではあります。