The two are poor in money,but rich in love.
1989年大納会を終え90年代を跨ごうとしたその時、暴落は始まります。世に言うバブル崩壊です。
-愛に足りて、カネ足りず 夢にあっては、時に翻弄される-
1988年ジェームズ・ウッズ、ショーン・ヤング共演、「The Boost・引き裂かれた愛」 です。
いつかは金持ちにと願う不動産のやり手ブローカーのレニーをジェームズ・ウッズが、反して平凡ではあるけどいまそこにある愛に十分なアマチュアダンサーのリンダをショーン・ヤングが演じています。
時代がそれを許すと手招きをしたアメリカ番バブルの象徴的作品でもあります。
LAで成功している実業家の誘いはレニーにとって何か足りない毎日を埋めるに十分な転機でした、かれは誘いに乗ります。不安を隠せないリンダを半ば強引に説き伏せて ・・・
心配は迎えのショーファー付きリムジンや温水プールを備えた邸宅でものの見事に吹き飛びます。
レニーが側にいればそれでいいリンダにしてもそれは一抹の不安に蓋をすることに、
一見ふたりは階段を一歩登りました。
公私にリースのメルセデスSELを与えられ、バレエ教室に通うリンダには赤のオープン・カーと仔犬を。
レストランにおいてはその人のために年間を通してリザーブされた席に、
普通のごく普通の人間では感覚が麻痺しないほうがおかしいというもの。
好事魔多し、物語は反転します。
それでもレニーは突っ張ります!やがて税法が変わり奈落の入り口に立つオトコはこころのモヤをドラッグで晴らすことになります。
絵に描いたような転落はこれを持って幕が開きます。
落ちていくに相応しい情景として服・クルマ・住む家がフィルムに転写される。
象徴的にわたしがとらえたのは海岸で友人とジョギング中に傷つき前足を引きずって尻尾を振りながらレニーに近づく老犬、レニーは獣医に見せ治療をし引き取るのです。
そのまま、一瞬立ち直りクスリを断った自らの鏡として過ごすには最高な贈り物だったと観ました。
後は本編をどうか御覧ください。
脱法ドラッグ・危険ドラッグの問題が声高に叫ばれる現在打ってつけの素材をTV局は見逃しています。
過小評価されているこの映画を ・・・
不埒な友人の誘いにのりかけがえの無いふたりの結晶を流産したリンダの知らせを聞いてレニーが病院に駆けつけるシーン、最後の運と思わせるビジネスの大取引をドラッグで棒に振るシーンはこの映画のハイライトです。
そしてジェームズ・ウッズはわたしが好きな俳優のひとりです