オープニング (Opening Credits) に関していえば最近これほど美しいものを見たことがありません。
本編へのいざないはもうここから始まっています。1999年「The Talented Mr.Ripley / リプリー」 です。
この2年後に主演のマット・デイモンはオーシャンズ11に出演するわけですが、名声を不動のものとするボーン・アイデンティティーはその翌年。
としてもこんなに上手い俳優さんだとは思いませんでした。ディッキー役のジュード・ロウは監督のお気に入りのようですが放蕩息子をよくこなしてます。
原作に忠実なのは実はこちらだそうで、脚色 (映像化しやすいよう手直し) がはいっています。
枠取りや風景描写・衣裳など原作を横目にしながら新しいものにしようとした監督の手腕はいいと思います。
1作目の音楽の印象がそしてアラン・ドロンの演技があまりに鮮烈なため、いわゆるリメイク物の範疇に入れがちですが評価は十分付けれます。
じゃあ、この作品からそれの ' どこを抜き出すのか? ' と問われると ・・・
ここがリメイク物の難しさだと思うのです、自分には
ケイト・ブランシェットやフィリップ・シーモア・ホフマンなど名うての俳優がクレジットされていても観る者はどうしても前作と比較する。
名匠ルネ・クレマン・アラン・ドロン・ニーノ・ロータと3枚のカードに、邦題の 「太陽がいっぱい」 はベスト・キャッチコピーに近いものいわば手札はフル・ハウスです。
もう一枚のカードを抜いていればと感じられる、それがマージ役のグウィネス・パルトローだったのか
鮮烈な何かなのかは見終わったあともわかりませんでした。
2011年8月の 「太陽がいっぱい」 のレビューでリメイクしたとしても代役はいない!とわたし自身は記しています。
ただ、ひとつ可能性があったとしたら 「どんでん返しの要素」 かも知れません。アンソニー・ミンゲラもまったくのリメイクでは太刀打ち出来ないとそう思っていたのかもしれません。