THE De Niro APPROACH   Raging Bull

 

80年代最高の映画と称されるロバート・デ・ニーロ主演 「 Raging Bull / レイジング・ブル 」 です。

 

監督は 「Taxi Driver / タクシードライバー 」  「New York , New York / ニューヨーク・ニューヨーク 」 に続いてマーティン・スコセッシ、ジョー・ペシが弟役を演じています。

 

本編においてデニーロは堕ちてゆくミドル級チャンピオンのジェイク・ラモッタを演じるに当たり27kgといわれる増量をしています。

 「デ・ニーロ ・アプローチ」  そう呼ばれています。

 

 ボクサーに付きものの減量で頬がこけた人格から、くたびれてでっぷり太った場末のスタンディング・コメディアンまで およそ27kgといわれる増減量をやってのけます。

恐ろしいまでの拘りはアカデミー賞の選考委員に文句をつけさせませんでした。


 歳わずか15歳の小娘に惚れ、14歳の小娘を雇い入れては警察にしょっぴかれる人生の裏表、そのデニーロの拘り以上に妻に向けられる嫉妬・浮気への病的で卑屈な猜疑心を演じるデニーロの力量は天才と呼ぶ価値があります。

 

観客はこの映画の中において 「努力と天賦の才」 の裏表を同時に見ることができるのです。

 

黒澤監督に影響を受けたといわれるマーティン・スコセッシ、 演出や効果において細かな断片にそれが見受けられます。

 

 

 引退し妻や子供らとマイアミの別荘に移り、店付きのバーを買い入れたデニーロ演じるラモッタが客達の前でスピーチするくだりは後半のハイライトだと個人的に思えます。4畳半くらいのステージかと思われる場末の居酒屋での客との丁々発止、親ほどのショーガールを紹介する場面は見たくもないコインの裏側ではありますが人生にして 剥がれないテープ痕のように人につきまとう。

 

 

 

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