The Exorcist 超えがたき道標

久しく開けなかった宝箱をあける機会がありましたので老いし者のたわ言など。

 

わたしが観てきた映画の中で常にこの作品はベスト30のなかに入る。

ウイリアム・フリードキン監督メガホン 1973年の「ザ・エクソシスト The Exorocist」です。

 

およそ半世紀前の作品だがことホラーのジャンルでこれを超えるものに出会ったことがない。そういう意味ではセブンと同じ。

いまの映画とちがって自分がどこに居るかがはっきりと分かる。自分が立っている映画の中の住所が手にとるようにわかるとでも言おうか。

テンポは遅いかのようで早く感じる。

役者は勿論リンダ・ブレアをサポートするにはうってつけの面々が並ぶ。

カラス神父役のジェイソン・ミラー、リンダ・ブレアの母親役のエレン・バースティンを評価したいがメリン神父役のマックス・フォン・シドーが別格!

 

現代医学や現代精神学をカラス神父が唱え、それらをトレースするかのようにかよわき娘を検査するくだりを忘れてはいない、ながらも認知を患う母親の処遇に葛藤する「ひとの弱さ」もこの映画は見せてくれる。

悪魔はそこを突こうとする。

 

霧の中やってきたメリン神父のまえにリーガンの部屋の明かりがそれを切り裂くようにあざ笑う、

 

悪魔の微笑みかまたは咆哮か。

 

凄まじい闇の力と神の子の戦いをまた見る価値はある、十分に。